変形性ひざ関節症の治療方針

  1. 関節
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変形性ひざ関節症は、ひざの関節軟骨が加齢のため変形して壊れ、炎症を起こして痛みの出てくる病気で、毎年90万もの人が発症しているといわれます。加齢とともに増加し、また性別では女性に多く見られます。変形性ひざ関節症の治療の目標は次の2つです。

1)発症や進行をできるだけ遅らせること
2)日常生活に支障をきたす症状(痛みや腫れ、曲げ伸ばしの不自由さ)を改善すること

診断・治療は1人1人異なる

変形性ひざ関節症の進行度はレントゲン(X線)の分類で、I度~Ⅳ度の4段階で表されます。しかし、年齢や性別、筋力、生活様式など1人ひとり異なりますので、進行度のみで画一的に治療法を決めることは難しく、個別の対応が必要となります。

治療法は保存と手術の2つ

変形性ひざ関節症の治療は大きく保存療法と手術療法の2つに分けられます。治療の目的は軟骨の変形の進行を抑えると共に、痛みを抑えて日常生活に不自由のないようにすることです。そのため、まず保存療法を行って症状の軽減を図ります。保存療法を行ったにもかかわらず、十分な効果が現れず症状が悪化してしまったような場合に手術療法が検討されます。

保存療法には(1)生活指導、(2)運動療法、(3)物理療法、(4)装具療法、 (5)薬物療法があります。これらの療法は初期から症状に合わせて選択され、必要に応じて組み合わせて行われます。

手術療法には、(1)関節鏡視下手術、(2)高位脛骨骨切り術、(3)人工関節置換術があります。手術にあたっては、その効果、危険性、手術費用、入院期間、手術後のリハビリテーションの内容など、主治医とよく相談したうえで決めることが大切です。

保存療法の治療方針

生活指導

変形性ひざ関節症の進行を遅らせるには、ひざにかかる負担を軽くしてあげることです。そのためには、肥満気味であれば体重を減らすこと、ひざを使い過ぎであれば運動量を減らしたり、運動の方法を変えること、ひざの周りの筋肉を鍛えることです。ただし、極端なダイエットは骨や軟骨の栄養が不足したり、ひざ関節を支える筋肉が弱くなってしまいます。いきなり標準体重まで減量するのが難しければ、2キロのダイエットに成功すればその分だけひざの負担が軽減されることになります。運動も体重コントロールも継続できる方法を選びましょう。

保存療法は4種類

保存療法には(1)運動療法(リハビリテーション)、(2)物理療法、(3)装具療法、(4)薬物療法の4つがあります。これらの療法は初期から症状に合わせて選択され、必要に応じて組み合わせて行われます。

(1) 運動療法(リハビリテーション)

運動療法は、理学療法士の指導のもとに医療機関内の施設や自宅で行われます。目的は、筋力訓練と可動域訓練です。ただし、症状が出ている場合には無理をせず、専門家の指導にしたがってください。関節はもともと支持性のあるものですが、変形性ひざ関節症になると不安定になってしまいます。ひざへの負担を考えるとジョギングよりはウォーキングのほうがお勧めです。さらにおすすめなのは、自転車こぎや水中歩行などのように、なるべく関節に負担をかけないような運動です。ひざの状態、生活スタイル、運動の好き好きにより、長く続けられるものを選んで取り組むといいでしょう。


プールでの歩行

入浴中など

(2) 物理療法

血行をよくすることで痛みや動きを改善するもので、温めたり冷やしたりするほか、理学療法士の指導で熱や電気などの刺激を与えることもあります。変形性ひざ関節症の場合、基本は温めること。冷たく感じる湿布薬も薬の成分がひんやりした感じをもたらすだけで、冷やしているわけではありません。ひざ関節に腫れや熱がある時は冷やしますが、冷やした後は収縮していた血管が一気に拡張して血行が良くなります。冷温を組み合わせた方法もあります。

(3) 装具療法

装具はひざ関節にかかる負担を軽くすることとひざを安定させるために使われます。サポーター、足底板、杖などがあります。また機能的ひざ装具といって、患者さんの状態に合わせてつくられる装具もあり、ひざの負担を軽減する効果は他のものより優れています。装具を使用している際に痛い場所があるとか気になることがあったら、医師に相談しましょう。


サポーター

足底板

機能的ひざ装具

(4) 薬物療法

薬物には、痛みの強さや症状に合わせて処方する消炎鎮痛剤(一般的に「痛み止めと言われています)と、予防的効果もあるため幅広く使われるヒアルロン酸の関節内注射があります。

消炎鎮痛剤には、外用薬として塗り薬と貼り薬とがあり、一時的な痛みや炎症を抑えるために使われます。痛みが強くなったときに内服薬や坐薬が使われます。内服薬は手軽に服用ができますが胃腸障害などの副作用がありますので、体調に変化があった時には医師に相談しましょう。通常、長期間使用せず症状が治まってきたら、外用薬などに切り換えます。

ヒアルロン酸の関節内注射は、関節軟骨や関節液に含まれる成分のひとつであるヒアルロン酸を関節内に補充します。ひざ関節に直接注入することにより、関節の働きをなめらかにしたり、ひざの痛みを軽くしたり、炎症を和らげたりする効果が期待できます。ヒアルロン酸注射は初期の、痛みや症状の軽いうちに行うとより効果的です。一方、炎症を抑える働きもあるため、ある程度症状が進行してしまってからでも効果が期待でき、痛みや症状の強弱にかかわらず幅広く使用されています。

痛みが非常に強い場合には、消炎効果の高いステロイド剤の短期使用や神経ブロック注射などが用いられることもありますが、副作用を起こすことがありますので使用に当たっては注意が必要です。

手術の治療方針

変形性ひざ関節症の治療は、まず保存療法(運動療法や薬物療法など)を行って症状の軽減を図ります。保存療法を行ったにもかかわらず、十分な効果が現れず症状が悪化してしまったような場合に手術療法が検討されます。

手術にあたっては、その効果、危険性、手術費用、入院期間、手術後のリハビリテーションの内容など、主治医とよく相談したうえで決めることが大切です。

関節鏡視下手術

関節内を内視鏡で観察しながら、滑膜炎、変形した半月板や軟骨、関節内の骨のでっぱり(骨棘)やカケラを取り除き、痛みを改善します。

この手術に向いている人
関節の変形や痛みがそれほどひどくない場合や確定診断に行われる。

メリット
内視鏡手術のため、創(キズ)が小さく体への負担が小さい。正常な組織を傷つけにくく、手術による感染症の危険性が低い。

デメリット
数年で腫れや痛みなどの再発することがあり、効果の持続期間は長くない場合もある。

高位脛骨骨切り術

すねの骨(脛骨)のひざに近い部分を切り、O脚を矯正して痛みを改善します

この手術に向いている人
50歳から60歳代で比較的活動性が高く、極端なO脚などひざの内反変形によりひざの内側に痛みが強い場合に行われる。

メリット
可動域が維持され、手術後10年以上もよい状態が続き、スポーツなどもできるようになる方がいる。

デメリット
・切った骨が完全につく(骨癒合)まで最低2か月程度かかる。
・入院期間中に衰えた筋力の回復にさらに1か月程度かかる。

人工関節置換術

変形した関節をセラミックやポリエチレンなどの人工関節と入れ替え、痛みや歩行能力を改善します。

この手術に向いている人
ひざ全体が大きく変形し、痛みが強く立ち座りや歩行など日常生活に支障をきたす場合に行われます。

メリット
・痛みやこわばりが解消し、多くの日常的な動作ができるようになる。
・自転車や車の運転、水泳やサイクリング、ゴルフなどの運動ができるようになる。

デメリット
・ひざの曲がりが完全に戻らない場合が多く、正座や激しい運動は避けたほうが良い。
・治療費が高い。
・現在の人工関節の耐久性が15年~20年程度。耐用年数を超えると取り替え手術の必要がある。

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